発達障害を持つ女性のためのコミュニティ
2020年02月07日
こんにちは、かえるです。
今日のテーマは「ASD」と「HSP」です。
ASDは「人の気持ちが分からずに社会に馴染めない人」
HSPは「人の気持ちがわかりすぎてしまう敏感な人」のことです。
真逆じゃないか、それを両方持つってどういうこと?
……と思われそうですが、これは残念ながら、共存します。
以下に詳しく説明していきます。
ASD(自閉スペクトラム症、アスペルガー症候群)は、DSM-5(アメリカ精神医学会による『精神障害の診断・統計マニュアル第5版/2013)に定義されている精神障害のひとつです。
・社会的コミュニケーションおよび対人的相互反応における持続的な欠陥
(対人的・情緒的関係の欠落、非言語コミュニケーション行動を用いることの欠陥、人間関係の発展・維持・理解の欠陥)
・行動、興味、または活動の限定された反復された様式
(常同的または反復的な身体の運動、同一性への固執、習慣へのかたくななこだわり、感覚刺激に対する過敏さまたは鈍感さ)
「コミュニーケーションの障害」の部分の具体例は以下のようなものです。
・人と視線を合わせられない
・相手と適切な距離をとることができない
・他人の思考が分からない
・空気が読めない発言をしてひんしゅくを買う
・自分のことばかり一方的に話してしまう
・無自覚に人を傷つける発言をする
・自分の言葉を相手がどう受け取るか考えずに話す
・相手の立場や背景を考えて言葉を選べない
つまり、人間関係を作るのがとてつもなく苦手なせいで、社会集団(学校や職場)の中で浮いてしまうのがASDです。
これに対して、HSPは医学ではなく心理学上の用語です。
Highly Sensitive Person(ハイリー・センシティブ・パーソン)の略、「非常に繊細な人」「とても敏感な人」という意味で、アメリカの心理学者エレイン・アーロンが1996年に自著「ささいなことにもすぐに「動揺」してしまうあなたへ」で提唱したものです。
人の影響を受けやすいHSPは、どの社会にも15~20%(5人に1人ぐらい)はいるようです。
人の感情に影響されやすく、特に悪意には敏感です。映画や小説などで感動してすぐ涙が出てしまう、些細な物音で眠れなくなる、1人の時間を大切にする、などの特徴があります。
HSPチェックリスト
http://hspjk.life.coocan.jp/selftest-hsp.html
参考文献:「敏感すぎる自分」を好きになれる本 (著:長沼 睦雄)
簡単にまとめると、
ASDは「人間関係を作る」能力が低い状態。
HSPは「相手の感情や空気」を読み取る力が強すぎる状態。
これらを両方持っていると、
「相手の立場や気持ちがわからず無神経な言動をしてしまうのに、それで相手が傷ついたことや不快に思ったということだけは繊細に感じ取ってしまう」
という訳のわからないしんどさが発生します。
空気が読めない発言をするくせに、場が凍ったことだけは分かる。
どうやら自分の何かが相手の気に障ったらしいが、どうしてなのかが分からない。
理由が分からないのに、相手がマイナスの感情を持っていることだけは分かる。
やらかしてしまった後で、「結果」だけが残酷につきつけられるのです。
日々、スイカ割りをしている気分です。
足場の悪い砂浜で目隠しをされて、ぐるぐる回って、どこにあるか分からないスイカを割ろうと必死。
「そっちじゃない」「こっちだ」「そうじゃない」と周囲から言われるのに、自分がどこに向かって何をしているのかわからない。
腹をくくって思い切り棒を振ってみると、わああ、と悲鳴。どうやら誰かを殴ってしまったらしい。
そんなつもりはなかったのに、どうしてこんなことになっちゃうの?
もう、私、何もしないほうがいい。
誰かを傷つけるぐらいなら、誰とも話さない、関わらないほうがいい。
HSPを持っていないASD者の場合は、耳栓をしているようなもの。そもそも他の人の声が聞こえていません。
なので、振り回した棒が誰かを殴っても、何かを壊しても、全く気づきません。
ある意味では図太いというか、人に何を言われても気にしないので意外にタフです。
その代わり、手ひどい報復をうけることがあります。
何を言っても響かないので、乱暴にコミュニティから排除される、ということです。
どこにいってもイジメられる、暴言を吐かれる、暴力を受ける……という人は、無自覚に棒を振り回してる可能性があると思います。
ASD者は、HSPがあってもなくても、人間関係でトラブルを起こしやすいことに変わりはないのですが、しんどさの質がちょっと違うようです。
なおASDでない人は、目隠しなんてしていないので、渡された棒でスイカを割るのはカンタンです。HSPであるかどうか(耳栓をしているかどうか)は関係ないのです。
もちろん、ここに「ADHD」も併存します。
ADHD、ASD、HSPの全部盛りは、えらいこっちゃです。
「ADHDのみ」ならば、おっちょこちょいでうっかりミスを連発しても、愛嬌があって人に好かれるので周囲のサポートを受けて何とかなったりします。
「ASDのみ」ならば、人付き合いは悪いけれど仕事は丁寧なので、技術や資格があれば意外に重宝されます。
でも、「ASD+ADHD」の場合は……
ドジでミスだらけ、注意してもふてぶてしい。言葉に棘がある。雑談の輪に入らない。会話が成立しない。
さらにHSPを持っていると、相手がイライラしていることを敏感に感じ取ります。
相手がどんなに優しく接しても、裏にある苛立ち、怒りの感情を読み取ってしまうのです。
原因が自分にあることは理解しているので、何とかしたい、とは思うのですが――
なにせASDの生活はスイカ割りなので、何をどうすれば相手に不快を与えないのか、分からない。
そのため自責的になり、うつ病などの二次障害になりやすいです。
HSPがあってもなくても、ASD者が「コミュニケーション」の技術を獲得するのは簡単なことではありません。
どんなに意識してもボロが出る。
HSPの性質で相手の不快にすぐに気付けたとしても、「またやってしまった」と辛くなるだけなので何の役にも立ちません。
それぐらいなら、相手の感情に気付かない方が幸せなのかもしれない。
以上が、HSP、ASD、ADHDを全部持ってる私のしんどさの内訳です。
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コメント
2020-02-12 20:13:06
by roba
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