こんにちは、かえるです。

このブログをご覧の方は、「もしかして私、発達障害かも」と思い始めたばかりの方から、既に通院中の方、福祉サービスを受けてらっしゃる方まで、色々いらっしゃるかと思うのですが……

今回のテーマは「主治医との関係」です。

以前、「多剤大量処方について」という記事がありました。
合わない薬を飲んで症状が悪化するのは、精神科に限らずよくある話です。
私も副作用で苦しんだ経験アリ。

でも、今は合う薬に出会えて、効果を実感しながら飲んでいます。

お薬は確かに諸刃の剣なのですが、信頼できる主治医を見つければ、特に二次障害で苦しんでる人にはかなーーーり心強いです。


(イラスト:ミムラさん)

 

皆さんにも、信頼できる主治医との出会いがありますように!!

という願いを込めて、今回は私が今の主治医とどうやって出会い、どういう説明を受け、いい関係を作るに至ったか?っていう話をしたいと思います。

 

●医者は話を聞いてくれない?

私が精神科に初めてかかったのは、高校生の時でした。
でも、両親には露骨に嫌な顔をされました。田舎の古い人間で精神科への偏見が強く、「お前は病気じゃない」とハッキリ言われてしまったのです。
苦しくてお薬に頼りたかった反面、両親の影響で薬への不信感が強く、せっかく処方された薬もきちんと飲めませんでした。
最終的に鬱をこじらせて入院……。
その後退院はできたものの、お薬は全然まじめに飲んでませんでした。飲み忘れもしょっちゅう。
何年かは惰性で通院しましたが、結局、飲むのをやめてしまいました。
捨てたお薬、一体何シートあったのかな?

引っ越しも含め、16-20歳までに5人の精神科医にお世話になりましたが、「医者はみんな薬出すだけで話も聞いてくれないし、ちっとも楽にならない!」と嘆いていました。

これね!!
今思えば当たり前なんです。

当時は、「死にたい」気持ちに支配されすぎて、自分のしんどさや困っていることをうまく説明できなかったし、根本的に医者に不審感を持っていたし。

信頼関係を築くどころじゃありませんでした。

 

 

●今の主治医と出会った話

20代中盤になり結婚・出産を経て、私は再び通院・服薬治療を受けることを決めました。
理由はひとつ、娘のため。
24時間365日希死念慮につきまとわれてる不安定な母親のままじゃいられないな、と。

引っ越したので、まずは近くのクリニックを探すところからでした。
選んだときの条件はこちら。

1.近くて通いやすい
何度も行く場所なので、アクセスがいいところ。車で行くので駐車のしやすさも大事

2.ホームページが綺麗
サイトの雰囲気やコンテンツを見れば、院長先生の人柄が透けて見えます。サイトも作ってないような病院は、「今どき」の情報に弱そうなので除外。

3.院長のプロフィールがしっかりしている
精神科を専門にしているお医者さんは、プロフィールに「精神保健指定医」「精神科専門医」と書いています。精神科に限らず、ほとんどの開業医さんはきちんと勉強して専門資格を取っています。でも、内科の勉強しかやってこなかったお医者さんも、看板だけなら「精神科」「心療内科」を掲げてもいいんです。
「内科、**科、**科、心療内科」みたいな看板を掲げているところは、本当に専門なのは内科だけで、メンタルの病気はおまけで診ている……なんて場合もあるようです。
発達障害を診断できる病院は徐々に増えてきてはいますが、まだ少ないのが現実です。精神科を掲げている病院でも、発達障害の知識がないお医者さんは結構います。
発達障害ではないか?と疑っている方ならなおさら、発達障害の検査・診断・投薬ができるお医者さんを探したほうがいいでしょう。

そんな経緯で見つけた近所のクリニックに、私は通い始めることになりました。

受診した当初は、たぶん扱いづらい面倒な患者だったと思います。
お薬勧めてもイヤだ飲みたくないって言うし、処方してもちゃんと飲まないし。でもなんとかしてほしいって言う。
当初は授乳中だったのもあり漢方薬をもらって、その後は色々な薬を飲んでみたのですが……相変わらずすぐに嫌になって飲まなかったり、飲み忘れたり。副作用で眠くなったり気分が悪くなったりするので、なかなか安定しませんでした。
でも、ラミクタールっていうお薬を勧めてもらったんですが、これがとても効いた。
飲んだ翌日から効果を実感したんですよね。もうびっくり。こんなお薬あるんだ!って思いました。プラセボ効果もあるんでしょうけど……。
でもそのプラセボ効果を得られたのも、主治医が私の話を否定せず、お薬を飲み忘れても怒ったりせず、効果を丁寧に説明してくれたおかげ。

かれこれ5年ほどお世話になっていますが、たくさん応援してくれたいい先生です。

結果論にはなりますが、やっぱり「いい関係」っていうのは、相互のものなんですよね。

 

●インフォームドコンセントは「お互いに」大事

過去の反省として、実は全然まじめにお薬飲んでなくていっぱい余ってるのに、怒られたくない一心で「ちゃんとのんでます」って言うのは良くなかったなって思います。

効いてるのか効いてないのかわかんない、なんか気分悪くなるだけでイヤ、でもお医者さんが飲めっていうから仕方なく飲む……
いつの間にかどんどん薬が増えて、でもしんどさは増すばかり……
これ、一番最悪なパターン。

「この薬飲むとしんどい」っていうのは、ハッキリ言ったほうがいいです。
同じような効果でも、副作用が違うお薬は結構あります。

「Aがダメなら、Bを試してみよう」と、お薬の種類を変えてみたり、「副作用で眠くなるなら夜にだけ飲むようにしよう」と時間を変えてみたりで、案外なんとかなったりします。

お薬に不安があったり、効果がわからなかったら分かるまで聞けばいいんです。

お医者さんは、病気とお薬の専門家。
その病気がどんなもので、こういう症状が出て、どういう効果のあるお薬なのか、説明する義務があります。
インフォームドコンセント(説明と同意)ですね。

そして患者は、自分自身の専門家です。
まずはお医者さんを信じてお薬を飲んでみる。それで実際にどうだったか、お薬を飲む前とどう変わったか。具体的に困ったことはあったか。
この辺を、患者自身がちゃんと説明できると、合うお薬にたどり着きやすくなります。

「言われたから仕方なく飲んでるフリをしてる」なんて、お金と時間のムダ。
説明を受けて納得して、お医者さんとしっかり相談して、お薬で何をどう改善するのか目標を共有するのが、病気とお付き合いする上ではとっても大事です。

 

●セカンドオピニオン

どうしても主治医の処方や診断に納得できなかったら、相談して、他の病院を受診してみるのもひとつの手です。

あ、この「相談して」っていうのは、すごく!大事なところです。

なんか主治医に申し訳ないし言いにくい……と思うかもしれませんが、主治医に黙って他の病院に行く方が信頼関係を壊します。
「悩んでいるので、他のお医者さんの意見を聞いてみたい」「セカンドオピニオンを受けたい」と伝えて、紹介状(診療情報提供書)をもらいましょう。
お薬の履歴や今の診断、検査などの情報は、次の病院でちゃんと診てもらうのに大事な資料になりますし、時短にもなります。

 

私も、主治医に「発達障害じゃないと思うけど……」と言われたのに納得できず、紹介状をもらって心理士さんのいるクリニックに行きました。WAIS-IIIといくつかの心理検査を受け、「発達障害あるね」とハッキリ言われました。
その結果は主治医にも見てもらって、紆余曲折を経て今は「やっぱり発達障害なのかもねー」と言われております。

短い時間、診察室で喋るだけでは、実生活での困りごとはなかなか具体的に伝わらないのです。

ちなみに、主治医に発達障害だと言われるに至ったきっかけは、「実生活での具体的な困りごとを、ぜんぶメモ帳に書いて伝えた」ことでした。
診察室だと、なかなかちゃんと話せないことがあります。
これだけは伝えておきたいこと、しんどかったこと、聞きたいこと。キーワードでもいいのでメモしていくと、案外うまくいくかもしれません。

 

●医者は薬を出すだけ?

患者と医者の関係は、「敵の敵は味方」という表現がしっくりきます。

病気に対して、お薬は最大の武器。そして患者の診察は、「どの薬を使ったら一番効くかな」という情報収集の場です。医者は「あなたを苦しめているのはこういう病気のこういう症状(診断)」「だからこの薬を使ってみましょう(処方)」というのが仕事。

でも患者側は、実生活の悩み(お金や家族や仕事のこと)の方が強いので、そこが食い違ってしまうと「医者は薬を出すだけで、ちっとも私の話を聞いてくれない!」と思いがち。
でも、病院でなんとかできるのは、基本的に「症状」だけです。

単に話を聞いてほしいだけなら、カウンセリングに行ったほうがいいです。
もちろん、(でこ女みたいな)当事者会で悩みをブチまけるのもアリですよ!

 

●医者が病気を治してくれるわけじゃない

病気と戦うのは、結局のところ自分自身。
病院に行けば、お薬や病気の知識、つまり武器がもらえます。

「自分を苦しめてるのは何なのか」
「どうやったら自分の特性と付き合っていけるか」
お薬に振り回されることなく、うまく付き合っていけるよう、自分で情報を集めて、自分で考えて答えを出していく。
これが、発達障害を持つ私たちが生きやすくなるために、一番大事なことだと思います。

 

※今回、ミムラさんよりイラストをいただきました。とっても可愛らしいですよね。
ミムラさん、本当にありがとうございました!!

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